イーロン・マスク氏が率いるxAIが、米国内での高度な半導体製造能力の構築を目指す大規模プロジェクトを構想していると報じられている。同氏は、この構想が「米国版TSMC」となり得ると述べており、総投資額は2000兆円規模に達する試算が出ている。

このプロジェクトは、AI産業の急速な発展に伴う半導体需要の増加に対応することが主な目的とみられる。現在、先進的な半導体製造の大部分は台湾のTSMC(台湾積体電路製造)に依存しており、地政学的リスクや供給チェーンの脆弱性が課題となっている。米国内での自給体制確立は、国家的な重要課題として認識されているとされている。

マスク氏の計画では、特にAI学習に用いられる高性能チップの製造に焦点が当てられているとみられる。xAIが開発する独自のAIモデル「Grok」の性能向上には、最先端の演算チップが不可欠であり、安定供給を確保することは経営戦略の根幹に関わるという見方もある。

2000兆円という投資規模は、米国の半導体産業史上でも極めて大規模なものとなる。2022年に成立した「CHIPS法」により、米国内の半導体製造施設に対する政府補助金制度が拡充されているため、マスク氏はこうした支援制度の活用も視野に入れているとみられている。

ただし、このような巨額投資の実現には、技術的課題のほか、資金調達面での困難も予想される。また、既存の半導体メーカーやTSMC自体の米国への投資拡大という動きもあり、市場競争が一層激化する可能性がある。

マスク氏の「米国版TSMC」構想が現実化すれば、AI半導体の供給体制は根本的な転換を迎えることになるだろう。今後の具体的な計画発表や資金調達の進展が、このプロジェクトの実現可能性を左右する重要な要因となるとみられている。