イーロン・マスク氏は4月25日、SNSプラットフォーム「X」上で、人工知能(AI)とロボットの急速な発展に伴う失業問題への対策として「ユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)」の導入を提唱した。同氏は投稿の中で、これらのテクノロジーが大規模な雇用喪失をもたらす可能性があり、社会的セーフティネットの再構築が急務だと主張している。

マスク氏の提案は、AIやロボット技術の進化により肉体労働のみならずホワイトカラー職も脅威にさらされるという懸念に基づいているとみられる。同氏は過去にも自動化による失業リスクについて言及してきたが、今回はより具体的な解決策を示す形となった。UBIは政府がすべての国民に定期的な給付金を支給する制度で、マスク氏はこれが失業者の生活基盤を支える手段になり得ると考えているとされている。

この発言に対し、経済学者やテクノロジー政策の専門家からは批判の声が上がっている。複数の専門家が指摘しているのは、UBIの財源確保や実装の現実性についての疑問だ。「急進的な制度改革は政治的な合意形成が困難」「産業転換による新たな雇用創出の方が現実的」といった反論が報じられており、技術革新だけでは社会的課題を解決できないという見方も示されている。

また、労働経済学者の間からは、UBIよりも「職業再訓練プログラムの拡充」や「教育制度の革新」といった雇用維持・創出型の施策を優先すべきとの意見も出ており、マスク氏の提案が万能策ではないとの認識が広がっている。

今後、AI技術の社会的影響をめぐる議論は国家政策のレベルにまで拡大すると考えられ、テクノロジーと雇用、社会保障のバランスをどう取るかが重要な課題となる。