テスラは2026年5月7日、完全自動運転(FSD)ソフトウェアのメジャーアップデート「v14.0」を北米の全FSD加入者約200万台に向けてOTA(無線)配信を開始した。最大の新機能は、米国とカナダの指定高速道路区間における完全ハンズフリー走行の解禁であり、ドライバーはステアリングに手を置かず、目を前方に向けるだけで走行が可能になる。

v14.0の核心はエンドツーエンドの学習型ニューラルネットワークへの移行だ。従来のルールベースのコードを大幅に削減し、実走行データから直接行動を学習するアーキテクチャを採用した。テスラによると、5億マイル以上のFSDデータをもとにトレーニングされており、割り込みや急カーブなどの複雑な状況での判断精度が従来比で約40%向上したとしている。

米国道路交通安全局(NHTSA)は今回のリリースについて引き続きモニタリングを継続する姿勢を示しており、完全な自律走行の認可とは一線を画している。現時点でFSD v14.0は「Level 2自動運転支援」に分類され、ドライバーは常に監視義務を負う。テスラのウェブサイトでも「自動運転ではなく支援システム」であることが明記されている。

自動車アナリストのウェドブッシュ証券は「FSD v14はテスラの収益モデルを変える可能性がある」とレポートで指摘した。FSDのサブスクリプション月額は199ドルで、ソフトウェアの価値が向上するほど収益が直接増加する構造だ。競合のWaymoやCruiseが地域限定の有人バックアップ体制で展開するのに対し、テスラは既存車両へのOTA更新でスケールする点が競争上の優位性だという。

今後はv14.1で市街地でのハンズフリー機能の拡大、2026年末にはロボタクシー「Cybercab」との連携が計画されており、テスラのFSD戦略が収益化フェーズに入ったと業界は見ている。