スペースXが野心的な半導体製造施設の建設プロジェクトに乗り出すことが明らかになった。ロイターの報道によれば、同社は初期投資として550億ドルを投じ、総投資額は1190億ドルに達する見通しだという。このプロジェクトは、衛星通信インフラの拡充と次世代ロケット開発に必要な最先端の半導体を自社調達する戦略の一環とみられている。
スペースXは過去数年、サプライチェーンの強化に注力してきた。ウクライナ情勢の悪化に伴う供給リスクやアメリカの対中技術規制の強化により、重要部品の安定確保が経営課題となっていたと指摘されている。独自の半導体工場建設は、こうした課題に対応するための決定だと考えられる。
業界関係者によれば、この巨大工場の建設は2027年から2030年にかけて段階的に進められる予定とされている。初期段階では衛星通信用チップの製造に集中し、将来的には自動車部品やAI演算用途など、より幅広い用途へ展開する計画だという。規模や技術水準からみて、世界有数の半導体製造施設となる可能性が高い。
スペースXの親会社テスラも同様にサプライチェーン自動化を推進している。同社が独自開発した車載用チップが高い評価を得ていることから、スペースXも同様の戦略で競争優位性を獲得しようとしているとみられている。
この投資規模は、近年の民間企業による半導体産業への投資額としては異例だ。政府補助金の有無を含めた詳細な資金調達スキームはまだ公表されていないが、アメリカが進める国内半導体産業の強化方針と軌を一にした動きと評価する業界関係者も多い。
今後、スペースXがどのような規模と技術で半導体工場を運営し、宇宙産業全体にどのような影響をもたらすのか、その動向が業界関係者から注視されている。