Claude開発元のAnthropicが、イーロン・マスク氏が率いるSpaceXとの間で大規模なデータセンター契約を締結したことが明らかになった。2026年5月10日付の報道によると、この契約はAnthropicの生成AI開発に必要な計算リソースの大幅な供給を含むものとみられている。両者は過去にAI開発の方向性をめぐって対立していたため、業界関係者の間で「予想外の提携」として注目を集めている。
契約の詳細について、複数の関係筋によると、SpaceXが保有するデータセンター設備をAnthropicが利用する形での合意となったと報じられている。金額や契約期間については公式には明かされていないが、業界アナリストの間では数十億ドル規模の取引である可能性が指摘されている。Anthropicの広報担当者は「戦略的なパートナーシップにより、当社の研究開発を加速できる」とコメントしており、SpaceX側も「優れた技術企業への投資機会として評価している」と述べている。
この提携が注目される背景には、マスク氏とAnthropicの経営陣による過去の確執がある。マスク氏はかつてAIの安全性に関する議論の中でAnthropicのアプローチに異議を唱え、自らのAI企業xAIの設立に至っている。こうした状況下での契約締結は、両者が実利的な側面で共通利益を見出した可能性を示唆している。
このような動きがマスク氏の多角的な事業展開にどのような影響を及ぼすかは、業界全体にとって重要な含意を持つ。一方で、SpaceXの余剰リソースをデータセンター事業に活用することで、同社の収益多角化を加速させるという経営判断が示されたと考えられる。他方、Anthropicはマスク氏傘下の企業とのパートナーシップを深めることで、AI開発競争における計算能力の確保という課題に対応している。xAIとの競合という文脈では、マスク氏がAnthropicへのリソース提供を通じて業界全体の動向をより直接的に把握しようとしている戦略的意図も考えられる。
日本のAI産業やクラウド企業にとっても、大手AI企業とインフラ提供企業の統合が加速する兆候として重要である。データセンター基盤の確保が生成AI開発の競争力を左右する現下の状況では、こうした大型提携が業界再編のモデルケースとなる可能性が高い。
両者の契約がいつ本格的に稼働するかについては、今後の発表が待たれるところである。また、この提携がマスク氏のAI戦略全体にどのような位置づけになるのかも、引き続き注視する必要がある。