イーロン・マスク氏が率いるAI企業xAIの主力生成AIモデル「Grok」が、OpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Gemini」といった競合製品に比べて大きく後れを取っていることが明らかになった。業界関係者への取材に基づき、複数のベンチマークテストでGrokの性能が競合他社を下回っているとみられている。
Grokは2023年11月にベータ版がリリースされ、Xプレミアム会員向けに提供されていた。しかし、その後のアップデートにもかかわらず、標準化されたAI性能評価テストにおいて競合製品との差が縮まっていないと報じられている。特に推論能力と複雑なタスク処理の分野で大幅な遅れが指摘されており、学術機関や企業向けのベンチマークスコアではChatGPT-4やGemini 1.5に20ポイント以上の差をつけられている状況だという。
xAIの開発チームは限定的な規模で運営されており、数百人規模のOpenAIやGoogleの数千人規模の研究開発体制と比較して、リソースの制約が顕著だとみられている。マスク氏は過去にGrokについて「誠実なAI」として差別化を図る方針を示していたが、実際の性能面での競争力確保に課題を抱えているとされている。
このような状況は、マスク氏の経営姿勢に対する新たな疑問を生じさせている。TeslaやSpaceXなど、既存の事業でも積極的な研究開発投資を続けている同氏が、xAIにどの程度のリソースを割く意思があるのか定かではないと関係者は述べている。AI分野における競争の激化に伴い、中核技術の開発に充分な人員と予算を配分できない企業は、市場での存続が難しくなる傾向にある。マスク氏がxAIの経営体制を強化し投資を拡大しない限り、Grokが市場での競争力を回復させることは困難と業界アナリストは指摘している。
日本市場においてもGrokの認知度は限定的であり、ChatGPTやGeminiと比較して利用者数は極めて少ないと報じられている。国内のAIスタートアップや大手IT企業の間でも、Grokを基盤とした新規事業開発の動きはほぼ見られていない状況だ。
今後、マスク氏がxAIの強化策を発表するかが焦点となる。競争環境の変化に対応できるかは、同社の存続とAI産業におけるマスク氏の影響力維持に直結するとみられている。
