トランプ米大統領が2026年5月の訪中に際し、テスラCEOのイーロン・マスク氏を含む複数の経済界指導者を同行させることが明らかになった。一方、AI業界の重要人物であるエヌビディアのジェンセン・フアンCEOは今回の訪問団に含まれていないと報じられている。この人選は、米中関係と技術産業の複雑な力学を反映したものとなっている。
ホワイトハウスの発表によれば、訪中団には起業家、投資家、製造業の指導者ら約20名が参加する予定だという。マスク氏のほか、複数のフォーチュン500企業のCEOが名を連ねているとみられる。同行者の構成について、トランプ大統領は「米国の経済力を示し、両国間の協力機会を探る目的がある」とコメントしたと報じられている。
一方、エヌビディアのフアンCEOが今回の団から外れたことについて、業界関係者からは様々な見方が提示されている。同社はAI半導体分野で圧倒的な市場シェアを占めており、中国向けの高性能チップ販売については米国の輸出規制の対象となっている。このため、政治的な理由から同CEOの参加が見送られた可能性があると関係者は指摘しているとのことだ。
マスク氏の参加には重要な意味がある。テスラは中国を第二の主要市場としており、上海ギガファクトリーは同社にとって極めて重要な生産拠点だ。マスク氏は過去数年間、中国市場での事業拡大に積極的に取り組んでおり、同氏の訪中は両国関係の経済的側面を強化する姿勢を示すものとなっている。また、xAIやNeuralink、SpaceXといった氏の他の事業についても、国際的な規制環境の形成に影響を与える可能性がある。このタイミングでの訪中は、これらの企業の将来的な事業展開にとって戦略的価値を持つとみられている。
今回の訪問団構成からエヌビディアが外されたことは、AI技術をめぐる米中間の競争激化を象徴している。チップ規制の影響で中国でのビジネス機会が制限される企業とそうでない企業との間に、経済的なリスク構造の違いが生じていることを示唆しているとの見方もある。マスク氏のようにハードウェア製造と自動運転技術の開発に注力する企業と、半導体設計に特化した企業との戦略的位置づけの違いが、こうした人選に反映されている可能性が考えられる。
日本市場においても、このニュースは間接的な影響を及ぼす可能性がある。テスラの中国事業の好調は日本での電動車市場拡大への投資判断にも連動する傾向があるため、訪中がもたらす成果が注視される。また、日本企業の多くが米中経済関係の動向に事業戦略を左右されているため、今回の訪問がもたらす関係改善の具体的な内容が重要となってくる。
今後、訪中団による具体的な協力合意の発表が予定されており、その内容がグローバルなテクノロジー産業の構図にどのような影響を及ぼすかが見どころとなるだろう。
